architecture

木村家 (桝屋)

川越の歴史を建築的変遷として残った稀な建物 

  蓮馨寺へ続く立門前通りに建ち、正面から見て左(東)から添屋(平屋)母屋(町屋建築)、袖蔵(土蔵作り)がある。川越大火(明治26年)の影響で袖蔵が造られ、関東大震災時(大正12年)に袖蔵の一部が被害にあい、その部分のみ洋風町屋(看板建築)へ改修が行われています。背面や内部は袖蔵のまま残っている。立門前通りの往時の記憶をとどめると共に、川越大火や関東大震災などの歴史的な変遷を建物を通して感じることのできる建物です。

●令和3年度かわごえ都市景観表彰「都市景観賞」受賞


---------------------------- 審査講評 -----------------------------

蘇る立門前 の風情


 立門前の往時の記憶を伝える隣り合う2棟の歴史的建築物が見事に磨き上げあられました。母屋は、商業都市川越の発展を支えてきた町家建築で、これまで大きなパラペット看板で覆われていた大屋根や下屋の再現にあたって漆喰でアクセントをつけるなど、単なる修理にとどまらないこだわりが光ります。貸店舗として北・西面を人造石洗い出し仕上げに改築された袖蔵は、エキゾチックなデザインを活かした修理によって宿泊施設として生まれ変わり、通りに賑わいをもたらしています。時間をかけ、じっくりと仕上げられた2棟からは、建て主の思いに応える職人の心意気が伝わってきます。