architecture
お出迎えの間
影盛 かげもり
蔵造りの建物の特徴の一つである、鬼瓦の背面に取り付くのが影盛です。
影盛は、瓦と南蛮漆喰で側面部分を立ち上げ上部は竹を芯で作ってあります。
内部は、空洞です。基本は、鬼瓦の形状を何段にも膨らませて形状が決まってくるようですが、富の象徴でもあったようで、それぞれに色々な装飾が付いています。復原にあたっては、当時の形状を極力再現しています。微妙な膨らみのある曲面は必須で、近年簡略化が観られ建物もあり心が痛い。
傷んだ影盛 竹串で補強します。 形状の復原は最低限の責任です。 綺麗だ〜!このままでも美しい! 黒漆喰が出来る時代は来るだろうか?
印籠 いんろう ヒモ・ハラ
屋根の棟部分は箱棟と呼ばれています。
この建物では、最上部に雁振り瓦が乗り、その下に熨斗瓦が2段あり、その下に唐草瓦と来ます。この熨斗瓦の継ぎ目に付くのが「印籠」です。
雁振り瓦と熨斗瓦の継ぎ目の部分を「ハラ」
雁振り瓦同士の継ぎ目の部分が「ヒモ」です。
ヒモ・ハラ・印籠・大面 一旦撤去 印籠の中身 印籠の下地作り 塗り重ねていくのみ!
屋根 やね
川越の蔵造りの特徴の一つである屋根の瓦の葺き替えです。
瓦の葺き足(表面に見えている部分の長さ)が4寸5分と短いです。その分重なっている部分が多く、雨漏り・防火的にも意味がある訳です。しかし、同じ面積を葺き足の長い瓦で葺く場合に比べて枚数が多く必要です。枚数が多いと云う事は、荷重がその分重くなるという意味でもある。
現在の建築基準法では、土壁の評価が低く屋根の荷重=単なる重りに成ってしまう悲しい現実があります。
増築された部分の解体された状態 土居塗りとガンギ 屋根の断面 野地板・杉皮・巻竹・土居塗り 荷重低減の為に桟瓦葺きに
櫓貫 やぐらぬき
あまり聞かない名称の一つでもあります。
しかし、蔵造りの特徴のひとつである2階壁面の戸前観音扉を作るにあたって欠かせないものです。土蔵は、壁の土が厚いです。この建物では270mmあります。
ここに扉を付けるには、柱が遠すぎますね。よって、出窓の様に扉の肘鉄(丁番)を付ける実柱(さねばしら)を外壁の外に出します。防火の意味も有ったのでしょうね。その実柱と建物本来の柱とを接続するのが「櫓貫」です。
2階内部から!観音扉が2つ付きます。柱から斜めに何本か出てますが、これが櫓貫です。 外部から実柱と櫓貫の関係 正面からです。柱のピッチより、外に取り付く実柱の幅は広いです。 櫓貫に寄って観ましょう 肘坪です。