architecture
軒先と内部 3
ここに来て結構目に見えて工事が進んでいることがわかるようになってきた。同時に仕上げになる部分が増えてきている。
外壁洗い出しのサンプルである。300角程度。
石の選択にあたって、設計時には、あまり無かった。ベージュ系のイメージ程度であったが、現場が進むにつれて、
色々なものの色が、オーナーと決めていくうちに、自然と黒系がいいだろうとなってきた。不思議だ。設計時には想像もしていなかった色だ。
左官屋さんが持ってきた石のカタログを見たが、イマイチ感覚がつかめない。ってことで、カタログを見ると工場が近く(吉見)にあるので、
行ってみる事にした。いきなりの訪問であったが、快く案内していただけた。黒系の石で、細かいものをということで、3種類のサンプルを
見せてもらった。磯黒1分・磯黒(黒曜)1分・大磯1分である。写真の物は、磯黒1分である。
基本的に上記の物は、カタログには載っていないものであった、磯黒1分は、元々那智石なのであるが、那智石は玉石で少し径が大きい
その規格からもれたもの(小さいもの)を玉砂利で扱うのだが、名称が混乱するので、玉砂利では磯黒と呼ぶらしい。
同じ磯黒でも(黒曜)の方は、海外の黒曜石を砕いて角を落として作られているらしい。半人工的に作られている石である。
こちらは、普段は、グレーなのだが、水にぬれるとすご〜くきれいな黒に変色する。ぬれているときは、磯黒よりきれいである。
結局選択したのは、磯黒1分である。
この玉砂利の洗い出しは通常床で使用することが多い。川越に残っている洗い出しの建物はもっと細かい石(ハクリュウというらしい)を
使われている。また、玉ではなく、角ばっている。
これを選んだことが正解なのかどうかは不明だが、考え方としては、建て直しする前の建物の外壁の洗い出しも同じような玉砂利を使用していた事
時代が、平成であるということ。洗い出しという言葉で一括りで囲えるが、その時代時代の石の選択のしかたがある。
それでは、この洗い出しは、どんな石に見えるんだろう?昔のものは、御影に見せようとしていたらしいが、。
とりあえず、今までの洋風町屋とは、異質な物が出来上がるであろう。


奥の方の軒天 この狭さわかりますか〜? 中塗り終了! 横方向に走っている親バーは、あくまでも垂木の位置出の為のバーである。
シャッターのところで、垂直に落し、窓のところに擦り付けていく。

数年前あるホールの見学会があって、大ホールの天井が緩やかな曲面でどうやって作っているのか見たくて、ホール天井の中に侵入?した。
これは、通常の見学会でなくて舞台装置関係の方々向けの見学会であったので、天井裏も自由に見学できた。
そのときも、緩やかな曲面に対して軽鉄がすごい量で構成されていてこんな事できるんだ〜って妙に関心した記憶がある。でも、その比に
成らないぐらいの迫力の軽天である。



この端部の納まりは良い感じ。ボードが張られて、稜線がビシッと通ると完璧?

外壁の洗い出し部分の中塗りが終わって、飾り部分の下地が終わったところ。
先日、山吉デパートの実測調査を行った時に屋上から外壁の上部のところまで実測したのだが、すごく細かい仕事であった。
曲線も多用してあって大変そうであった。今回は、すっぱり直線のみである。



ロフトの仕切り壁である。当初は、写真で見えるルーバーと直交方向のルーバーであった。しかも、多角形は、屋根の形状の細かい多角形
であった。施工してもらったものは、壁芯の位置で梁に当たる部分同士をつなぎ中心から放射上にルーバーを通していく。

これは、壁芯の位置が少しでもずれると多角形の頂点の位置が回転していくことになる。よって左右対称には成っていない。
なんかロフト奥からの照明がすごくきれいだったので、フラッシュ無でもう一枚。
さらにもう一枚
しつこくもう一枚 ロフト内部から一枚。 軒天詳細:銅板を張ると、梁が飛び出しているのが良くわかる。
梁の部分に暗いグレーののりの後がいくつか残っている。
写真には無いが、実は、この梁の部分も銅板で張り回してあった。
しかし、あまりにもひどい状況の納まりで、隙に隙まくっていて、すいている部分は、シールしてくれという。
しまいには、モルタルでも塗ってもらえるとありがたいんだがとか板金屋は言って来る始末。
丁重?にお断りしました。そして、梁の部分は張り直ししてもらう事に。
確かに、この部分は、色々な施工誤差がたまりにたまった部分で本来全て同じ形になるのだが、全て違う形
に成ってしまっている。その後処理を全て板金屋さんがするのは酷だが、あまりにもひどすぎた。
ここまで、作ってきた物に泥塗られた気がした。世の中お金お金お金。
お金があれば、本当に満足行く仕事ができるのかな?こういう仕事をしていてお金が無いからとか言って
本来の力を出さない所にお金を出して作ってくださいと言うところがあるのであろうか?
お金が、無くても請け負った仕事を自分の持っている力量で精一杯するのが、職人気質なのでは?って
感覚は古くてすでにない感覚なのであろうか?同時に、その力を引き出そうと云う気持ちにさせる設計では
ないという事でもあるのであろう。
本来は、全て、ハゼだけで、まわしていきたかったが、打ち合わせ不足は否めない。
板金屋さんとその場で、色々検討して、シールを回す事にしたが、板金という技術をすごく過信?しすぎていた
それが、ものの見事に、一番大事なところで、覆されて行った事は、残念である。
川越には、看板建築がいくつか残っているが、その表面を覆う銅版は、今もって目を止めて見るに値するものである。
技術は進歩せずに廃れて行っている。それを生かす場が無いのも原因なのであろう。
銅板や、洗い出しなどかつては、普通に行われていた技術を今使うということは、手間がかかりお金がかかり、納得いく結果を
得づらい状況になりつつある事は、確かなようだ、川越がこのような昔の資産(蔵造り、洋風町屋など)を本当に生かして
街造りを行っていくには、その業種の保護政策が必要になってくる。
夕闇の中でフラッシュに反応して微妙な色を映し出す銅板。
台形の部分は、1枚の銅板でハゼでついで行っている。 正面の方の歯飾り:出が少し少ない。もう少し出してもらう事に。 外壁の歯飾りの部分。奥の方で使ったALC50mmを歯飾りの形に加工して取り付けている。
軒天見上げ:相変わらず銅(素材)は美しい 屋根のサイドの軒天部分。 3階の道路側の個室:外壁がモルタル洗い出しなので、内部も同じモルタル30mmでやらないと駄目。 正面の3つの縦長窓廻詳細である。サイドと上部の庇みたいなものは、うまく行ったが、上部の鴨居?のラインが庇の上部
のラインと揃っていない。 地板:和室の奥の窓際に付く。ケヤキの無垢である。吸付桟が付いているのがわかる。
左に山積みされているのが、米松の板。3階の個室の上部を横切っている鉄骨の梁を覆う。
浴槽が設置されました。 蜘蛛の巣のような下地です。店舗内の下地はうまく行ったと思っている。 シャッターを室内でどのように処理するか、天井とどのように絡ませるか、比較的うまく隠せたのではないかな?。    
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